「クルド人少年を日本人が殺人未遂」と活動家がデマ拡散―冷静に行動を

9月2日、日本人の在日クルド人支援者2人が、恐ろしいデマ情報を流した。在日クルド人の小学生2人が、日本人少年に襲われて首を絞められる「殺人未遂事件」の被害者となり(埼玉県在住の男性活動家)、「ヘイトクライム(筆者注・人種を狙った過激な犯罪)」(東京在住の女性活動家)と、おどろおどろしくXに書き込んだ。
ishiitakaaki 2025.09.04
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デマは頻繁に社会に流れ、問題を混乱させる(イメージ、iStockより)

デマは頻繁に社会に流れ、問題を混乱させる(イメージ、iStockより)

国民の皆様へ、デマを黙殺することの呼びかけ

そんな殺人未遂事件、ヘイトクライムは、私が取材した限り存在しない。クルド人の間違いに、これら支援者らの偏見が加わり、話が奇怪な形になったようだ。意図的、もしくは錯誤による嘘を、関係するクルド人、2人の関係者はついた可能性がある。

これは日本人とクルド人の対立を煽りかねないデマで、誰もさわらないでほしい。拡散した2人の活動家には猛省を求めたい。この2人は過去にも、同種の間違ったデマの拡散を何度も行って社会混乱を引き起こしており、川口市民に批判されている人たちだ。彼らはクルド人からも間違ったことを言うと批判されている。

この2人のデマによって、日本人とクルド人の未成年者である当事者の人生が狂いかねない。またクルド人は集団で日本人による批判にいらだって、埼玉県南部で、日本人への暴力行為や威嚇が最近頻発している。川口市の公立学校では、このデマを契機にした、クルド人の集団抗議行動への注意喚起が始まった。地域の騒乱を引き起こしたいのだろうか。2人の話に反応する愚かな人もいて、社会への悪影響が懸念される。

私は川口市や川口市教育委員会に、関係者を通じて、身元が明らかになっているこれら2人の活動家に訂正と謝罪を社会に行うように求めるべきと、申し入れている。また川口市の市議会議員らも同じことを行政に申し入れている。国民の皆様はこの2人と流す情報を相手にしないでいただきたい。

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続きは、1944文字あります。
  • 事件の概要はただの子供のトラブル、激しい暴力もなし
  • クルド人問題は日本人問題
  • 関東大震災の外国人虐殺事件と構造は同じ

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