気象が複雑な日本に再エネは合わない?

 知人に和歌と俳句を嗜む女性がいる。その人は全くエネルギーに関する知識がない。私がエネルギー問題に取り組んでいるジャーナリストと知り、いろいろ質問をされた。そして「再エネには限界がある」と説明すると、「気象が複雑な日本では自然を飼い慣らすことは難しいでしょう。言葉を調べればわかります」という。
 
石井孝明 2025.02.17
読者限定

2100の風、400の雨の単語が日本語に

 日本語には、雨の呼び名、風の呼び名が無数にある。それは日本人の気象への繊細さを示すと同時に、日本の気象の変化が激しいことを示すというのだ。言葉を使う人の感覚の鋭さになるほどと思い、家に帰って季語を調べてみた。俳句はルールとして季節を象徴する言葉を使い、それを季語という。確かに、美しい響きの風と雨に関係する季語が100ぐらいずつ並んでいた。

青森県での風力発電用風車(筆者撮影)

青森県での風力発電用風車(筆者撮影)

 雨を使った季語は次のものがある。春は雨鷽(あまうそ。ウソドリのメス、昔から雨を呼ぶ)、驟雨(しゅうう)、五月雨(さみだれ)。夏は梅雨(つゆ)、夕立(ゆうだち)、梧桐雨(ごどうう。梧桐はアオギリのことで、6−7月の梅雨の時期に花が咲く)。秋は月の雨、無月(むげつ。名月の夜、月を隠す雨)。冬は時雨(しぐれ)、寒の雨(かんのあめ)などがある。

                    * * *

経済・環境記者の石井孝明が、移民・外国人労働者、エネルギー、金融・マーケットを中心に取材した情報を深掘りの解説をつけてお届けします。サポートメンバーのご支援のおかげで多くの記事を無料で公開できています。品質や頻度を保つため、サポートいただける方はぜひ下記ボタンから月額のサポートメンバーをご検討ください。

                    * * *

 また風をめぐる季語も多い。春の風を示す東風(こち)、春一番。夏は白南風(しらはえ。 梅雨明けの時期に吹く南風)、青嵐(青葉が繁る初夏に吹く強い風)、薫風(くんぷう。かおるかぜ。若葉の香りを漂わせて吹く初夏の風)。山背(やませ。東北や東日本に吹く夏の北風、冷害をもたらすこともある)、秋は初風(はつかぜ。秋のはじめに吹く風)、やまじ(西日本に春、秋に吹く熱い風)、野分(のわき、秋の台風に伴う暴風)。冬は木枯らし(こがらし)などだ。

この記事は無料で続きを読めます

続きは、2307文字あります。
  • 日本は気象が複雑すぎる国
  • 西欧では広がった風車-風力発電にも
  • 国の状況に合ったエネルギーシステムができていない

すでに登録された方はこちら

読者限定
なぜ私は埼玉クルド人問に取り組んだか-「石井孝明はトルコや自民党のスパ...
読者限定
学んで人生を切り開こうとする在日クルド人の少年―書籍「#埼玉クルド人問...
読者限定
「盗撮だ」いらだつクルド人が暴力-埼玉県
読者限定
『吉原花魁日記』を読む−今の「女性人権騒ぎ」への示唆
誰でも
自民党和田議員、記者石井に嫌がらせ訴訟-クルド人との親密関係を報じた逆...
読者限定
NHKがテロ関係の在日クルド人を支援、取材、報道、大炎上
読者限定
共生の意思がない外国人と街づくりはできない-奥富川口市議に聞く地域の疲...
読者限定
埼玉クルド人問題、住民の不安を聞いてほしい-奥富川口市議に聞く地域の疲...