日米貿易交渉で注目、米国産バイオエタノールの現状を取材(上)

トウモロコシから作る燃料のバイオエタノール。米国で自動車向けのガソリンとの混合燃料として定着し、航空機燃料などにも用途が広がっている。トランプ大統領はこの輸出拡大を目指し、2月の日米首脳会談で自ら日本の購入への期待に言及した。
ishiitakaaki 2025.07.28
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(写真1)輸送手段の脱炭素のため注目されるバイオエタノール(イメージ、iStockより)

(写真1)輸送手段の脱炭素のため注目されるバイオエタノール(イメージ、iStockより)

日本とアメリカの両政府は、貿易・関税交渉で7月22日に合意した。アメリカのトランプ大統領は8月1日から日本からの輸入に25%の関税を課すと通知していたが(自動車と部品には既に課税されていた)、これは止められた。ホワイトハウスのファクトシートによると、日本はトウモロコシ、大豆、肥料、バイオエタノール、持続可能な航空燃料(SAF)を80億ドル(1兆2000億円)購入する。数量目標は示されなかったが、バイオエタノールは今後の日本の対米貿易赤字の削減策として注目されていくだろう。

日本のガソリン・軽油の末端小売価格は、年約5兆5000億円(2020年)。その10%がバイオエタノールに置き換われば、5500億円と大きな市場になる。

このバイオエタノールに関わる米国の人々の考え、そして利用の課題はどのようなものか。それを6月初旬に現地取材した。関係者はそろって日本への輸出拡大に期待していた。一方で日本が向き合う課題も見えた。その情報を基に、日本には目新しいこのエネルギー商品の先行きを読者と共に考えてみたい。

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  • 攻めの経営をする米国農家
  • 安さが魅力、消費者が自分で燃料を選択
  • 脱炭素にも貢献できる期待のエネルギー

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